2007年3月隊活動レポート
2007年3月23日(金)
スケジュール
08:30 ホテルチェックアウト
08:35 今川先生講義
09:15 ホテル出発
09:40 バンテアイ・クデイ到着
10:30 タ・プロム到着
11:50 昼食(バイヨンT)
13:00 オールドマーケット到着
14:10 ホテル到着
15:35 ホテル出発
15:45 シェムリアップ空港到着
07:30(24日) 成田空港到着
本日の感想
(レポート係 菅野 ひろみ)
いよいよカンボジア研修最後の日となってしまいましたが、まだ何となく最終日であるという実感が沸かないままホテルをチェックアウトし、荷物を預け、再び遺跡見学へと出発しました。
上智大学がアプサラ機構と共に調査研究を行っているバンテアイクディでは、今まで見た中で最も優しい顔の女神に出会い、しばらくの間見とれてしまいました。 どっしりとした大きな榕樹に覆われたタプロームでは、自然の迫力に圧倒されました。その遺跡を貫き破壊しているとも、抱きかかえ保護しているとも言える姿には、しばし言葉を失ってしまいました。(きっとまた上を見上げてぽかんと口を開けていたことでしょう…。) アンコールの遺跡は、小さなものから大きなものまで一つ一つがとても印象深く、心打たれました。いつかまた戻ってきて今回見なかった遺跡へも足を運びたいと思います。
本当にあっという間の4週間でした。成田空港に到着し、隊長の「皆で無事に帰ってくることができ、本当にほっとしています」という言葉を聞いて初めて、あぁ終わったんだなと感じました。 この研修を振り返って最初に私が思うのは、「とにかくよく笑った」ということ。カンボジアの人々の屈託のない笑顔、カレッジ隊の笑顔…。人の笑顔が、こんなにも自分を笑顔にするということを知り、自分の笑顔も誰かを笑顔にするのかもしれないと感じました。心も身体も確実に以前より健やかになりました。
それと同時に、物乞いの子供達の訴えかけるような眼差しや、ゴミ山・スラムの光景も忘れられません。比較的恵まれていながら井戸がなく水不足だった、ダンカオ小学校のトイレに貯めてあった水の色も思い出されます。 これからは、笑顔が人から人へと広がるように、自分ができることを考え、探したいと思います。しかし、考えることに没頭せずに、常に何かに参加しながら。 最後に、研修をオーガナイズし、導いてくださった小山内代表を初めとするJHPの皆様、見学をさせて頂いたり、講義をしてくださった各施設・団体の皆様、あらゆる場面で私たちをサポートしてくださったドライバーの皆様、ブランコ作成を手伝って下さった村の方々や子供達、学校の方々、私たちの出会った全てのカンボジアの人々、そしてカレッジ隊のメンバー全員に感謝したいと思います。
様々なことを感じ、学び、無事帰国することができました。 本当に、本当にありがとうございました!!
今日の一言
車輌長 福田亮一
今日訪ねた遺跡の中では太い木の根に覆われたタ・プロム僧院が最も印象に残った。今川先生のおっしゃっていたように、人の作り出したものと圧倒的な自然の力の相克は見る者の言葉を失わせる。建設当時の高度な数学や物理の知識は今や永久に失われたままだ。いかに記録媒体の発達した現代世界であっても、後の世には今ある高度な技術は跡形もなくなり、つたの絡まる森に埋もれてしまうのだろうか。そうだとすると人の営みとは何なのだろうかと考えさせられてしまう。ともすると今この世界にある現実との格闘など何になるのだろうとも思えてしまう。そのように未来から現在を見る視線は持ってはならないのかもしれない。それは今もがき続ける理由を失わせ、非常に危険な考え方であるのかもしれない。
しかし、あの僧院を見て抱く安らかな印象は消すことができない。それは私にとって決してネガティブなものではなく、あきらめに結びつくようなものでもない。またそれは私の力をそぐようなものでもない。私の心の中にあの根に覆われた大僧院を思い描くことは、決して悪い気分ではなく、最後の最後まで自分だけで全てを抱え込まなくても良いのだ、と言われているような優しさを感じる。そう思うと、世界の不幸を自らの肩に背負っているというような、誰も望んでいない独りよがりの妙な錯覚からも解放されるような気がする。自分にできることをしようとスタートラインに立つことはそのような感覚からこそ生まれてくるのかもしれない。