あの学校はいま

JHP設立以来、校舎建設に協力した学校のなかから、次の2校の様子をお知らせします。

チューティルプル小学校(カンダール県)

学校の歴史

以前、子どもたちは近くに学校がなかったため、国道の方にある学校に通っていました。そのため、2001年に竹とヤシの木を用いて、近くに3教室ある学校を作りました。しかし、すぐに壊れてしまったので、JHPが協力して、2002年11月に新しい学校を建設しました。この学校は雨季に備え、高床式となっています。
学校の由来は、学校の近くにチューティルという木が2本一緒に生えていたため、「双子」をあらわすプルを用いて、「チューティルプル」となりました。
2009年、強風により屋根が吹き飛んでしまいましたが、無償修理期間を超えていたため、赤十字の支援を受けて自分たちで修復しました。
JHPの影響により、美術教育には力を入れています。以前、JHPの主催する絵画展をおいて生徒のカン・ブンドリットさんの作品が2位になりました。

生徒へのインタビュー

性別 年齢 学年 男子 14歳 4年生 女子  8歳 2年生 男子 10歳 4年生
家族構成 両親と9人兄弟 両親と3人兄弟 両親と5人兄弟
家での仕事 料理 兄弟の世話 洗たく 妹の世話 料理 商売の手伝い 兄弟の世話 料理 洗たく
好きな教科 国語(クメール語) 算数 国語(クメール語)
将来の夢 先生 会社員 銀行員
日本を知ってますか? 知らない 知らない 知らない

教師へのインタビュー

性別 年齢 担当学年 男性 42歳 校長 男性 26歳 4年生 男性 24歳 2年生
学校が抱える問題点 家庭が貧しく、学校をやめてしまう生徒がいる。登校が不定期な生徒がいる。フェンスがないので、学校としての管理が困難。修理予算が少なく、壁の修理が不可能 乾期に家業が農業の生徒がその手伝いに行ってしまい、学校に来なくなってしまう。貧困のため、充分な衣類・学用品を購入できない生徒がいる。 親が教育を受けていないので、子供が学校で学んだことへのフォローアップができないし、教育への理解が得られない。学校を生徒にとって魅力的にするための予算が不十分である。
生徒に望むこと 一生懸命勉強し、医者や教師になってこの地域を支えてほしい。 生徒全員が登校し、教育を受けること。輝く未来を歩んでほしい。 他者と共生していくためのモラルを身につけてほしい。小学校は教育の基盤なので、しっかり基礎固めしてほしい。そして、未来につなげてほしい。
教師としてのレベルアップ法は? 第3・4週に目の木曜日に4つのクラスターの学校から教師が集まり、教育指導改善のための勉強会をしている。 4つのクラスター合同の勉強会を行っている。しかし、内容は不十分。ミーティングも短く、充分でない。具体的な指導法を学びたい。 勉強会があるけど、ただのミーティングになる。効果はあまりない。
音楽・美術教育についてどう考えていますか 音楽教育は行っていない。美術を楽しんでいる生徒はすごくいる。画家になりたい生徒も出てくるかも。 自分のやり方で指導してしまっているので、これでいいのか迷っている。 美術授業は、生徒が喜んで参加している。

プノンペン市教員養成学校(プノンペン市)

学校の現状

全体
JHPの寄贈した校舎は2階建てで、1階が教室、2階が講堂。生徒たちは靴を脱いで教室を利用している。男女トイレは屋内の各階に男女それぞれ和式・洋式が1つずつ。手桶で水を流すタイプ。階段は広く、手すりもついている。

1階(教室)
音楽室には日・韓から寄贈されたオルガンやピアノが並び、生徒はカスタネットなどと併用しながら授業を受けていた。縫製室には10台ほどの足踏みミシンがある。授業で用いる大型の三角定規や分度器などの道具を木を加工して作成している部屋があった。

2階(講堂)
床はタイル。壁に訓示か貼られていた。(旅人が木陰を探し求めるように、学問をする人は素晴らしい教師を探し求めています、など) 省庁の役人がジェンダー(社会的性差)についての勉強会に使うこともある。講堂にはファンが8台、扇風機が十数台、スクリーン・プロジェクターもある。JHPの音楽コンテストの会場としても利用される。

生徒へのインタビュー

性別 年齢 担当学年 男子 22歳 1年生 男子 19歳 1年生 女子 23歳 1年生
家族構成 両親と男3人女2人の兄弟 両親と男2人女2人の兄弟 両親と男3人女2人の兄弟
好きな教科 算数 国語(クメール語) 国語(クメール語)
将来教師になった際、生徒たちに望むことは? 良い大人になるだけでなく、いい職業に就いてほしい カンボジアの文化についてよく知り、聡明な人になってほしい 知識や技術を身につけてもらいたい。
将来どのような教師になりたい? (小学校ではなく)中学校で教えたい 国語(クメール語)の教師 生徒のいいお手本になりたい。そして自分自身も生徒に追い越されないよう、教師として成長し続けていきたい。
日本のことを知ってますか? 行ったことはないけれど、歴史の授業やメディア、インターネットなどで知っている 行ったことはないけれど知っている。成績最優秀者が日本に奨学生として留学できる制度がある。(特にがんばって行きたいという感じではない) 行ったことはないけれど知っている。

教師へのインタビュー

性別 年齢 担当教科 男性 30歳 IT 女性 28歳 英語、科学 男性 23歳 音楽
現在抱えている問題は? パソコンの台数不足、パソコンが古いこと。 中学卒業の生徒と高校卒業の生徒の両方がクラスにいるため、生徒の理解力に差がある。 授業時間の少なさ。教師にとっても難しい歌があり、その際質問できる相手がいない。楽器の数が少ない(韓国のものは良い)。
教師をしていて嬉しいこと・大変なことは? 授業を理解してくれると嬉しい。パソコンの台数が不足しているため、生徒たちがなかなか使うことができず、それを見ていて残念に思う。 授業を理解してくれた時は嬉しい。工夫をして指導をしても、生徒が理解してくれない時は残念である。 生徒の理解が速いと嬉しい。
生徒たちに望むことは? パソコンの基礎を理解し、いい教師になってほしい。 子どもの目線に立って考えられる教師になってほしい。そして知識をうまく伝えられる教師になってほしい。 音楽の知識を子どもたちに伝えてほしい。限られた時間内でしっかり教えてほしい。
教師としてのレベルアップ法は? 学校主催の研修会に参加、同教科の教師との研修会参加、インターネットでの情報収集、JICAボランティアからの研修(数学・理科・パソコン) 書籍・インターネット・先輩の教師からのアドバイス 自分で勉強・MTTC外の教員と協力して勉強・JHPのワークシェアリングに参加
音楽・美術教育についてどう考えていますか 両方とも大事だが、今年度は美術の授業がすべてカットされてしまった。音楽も授業数が少ない。 両教科とも大事である。生活の幅が豊かになり、また音楽関係など職業に就く可能性も出てくる。 両教科とも重要。美術は感じたものを描いてほしい。音楽は全クラスにわたり国歌を教えたい。