JHP・学校をつくる会ホームへ

ホーム | 活動の紹介 | 学校建設 | 衛生教育

衛生教育

JHPが建設した学校で、校内美化や清掃、トイレ利用、手洗いなどの衛生指導が行われるよう、またJHP建設校以外でも、カンボジアで衛生指導が広まり、教師や子どもたちの衛生への関心と意識が向上するよう、JHPでは衛生教育の普及に努めています。

カンボジアにおける衛生教育の現状

カンボジアには、今もトイレや井戸がない学校が約30%あります。JHPは学校建設の調査時にトイレや井戸のニーズを必ず確認し、衛生環境の整備を進めており、その結果清潔な飲料水が確保されている(井戸等がある)学校、トイレがある学校が約70%まで増えてきました。

しかし、地域によって格差があるので、田舎の学校には完備されていない所が多く見られます。また、都会でも生徒数に対してトイレの個室が少なく不便な学校があります。

衛生環境の整備

JHPが建設するトイレは、地雷や病気でハンディキャップを持つ子どもに配慮してスロープや手すりをつけたJHPオリジナルのバリアフリー設計になっています。中には個室に車椅子で入れる広さになっているものもあります。近年は他の支援団体も取り入れるようになったため、子どもたちが使いやすいトイレが各地で普及しています。

井戸は地域によって掘る深さや作り方が変ります。また出てきた水に大腸菌や砒素が含まれていないか、検査紙を使い確認しています。

JHPは過去21年間にトイレ233棟(1,002室)、井戸(約119基)を支援しました。JHPの学校建設は井戸、トイレの整備まで含まれます。

衛生教本の配布

トイレや井戸を作っただけでは衛生教育は普及しません。そこで、JHPは1999年に「衛生教本」を作成し、建設した学校を中心にこれまで1万冊配布しています。この教本は、ある男の子が朝起きてから学校生活まで衛生に配慮するポイントを、低学年の子どもでも分かるような文章とイラストで説明しています。最近では、ゴミ箱を設置し、掃除を徹底している学校が増えています。

衛生授業の実施

2008年度に実施した既卒者対象絵画ワークショップ内で、絵画プロジェクト参加校の校長と絵画教員を対象に、衛星教育ワークショップを実施した。指導内容は、JHP衛生教本の解説、手洗い指導と手のデッサン、掃除当番作成等、衛星教育と美術教育を融合させたワークショップを企画しました。

学校での自主的な衛生環境整備に向けた取り組み
(2013年度〜)

これまで、トイレや井戸支援に関しては、衛生教本を配布しているが、教師の知識が不十分なこともあり衛生指導が行われず、施設の維持管理が不徹底であることが課題となっていました。
そこで、2013年度は、国際ボランティア貯金の配分事業として衛生教育強化に取り組み、同分野の専門家を招き、プレイベン州、カンダール州の対象校8校にて衛生施設の建設とワークショップを実施しました。この結果、8校においてトイレ利用率の上昇、ゴミ箱の設置、教室やトイレの清掃に必要な備品の設置や石鹸の配置など多くの環境改善が見られました。
JHPは、カンボジアの学校に生徒会組織があることに着目し、専門家のトレーニングを受けた当会スタッフが生徒会中心メンバーに対して、衛生環境向上に必要な事項を論理的に指導してきました。また、生徒が他の生徒にも教えられるようになるためのトレーニングを含めたことで、8校の生徒が衛生的な生活環境の重要性を理解できるような体制が構築されました。
ここでは、2013年度の活動を事例に、時系列でご紹介いたします。

@建設前ワークショップ(2013年5月9、10日)
建設支援を行う5校にて、教員及び生徒、学校支援委員会メンバー、村民、州と郡の教育局スタッフを集めて実施。その際、各学校に衛生教本を配布しました。

●受益者の感想
「清掃と建物の修理の重要性を確認した。周りの人々に知識を伝えて行きたい。学校にトイレがないことは、とても辛い。女子生徒は近くの知り合い、親戚の家のトイレを使わせてもらいます。」(プレイトンボン中学校3年女子)

「学校にトイレが無い事は、生徒に悪いことをしていると認識している。学校支援委員会はこれまでも簡単な修理はしてきた。予算は村民から集めている。学年末に生徒の親から寄付金を集め、箱に貯金しているが、村民は貧しいので、あまり貯まらない。」(プレイトンボン中学校村民、77歳男性)

Aトイレ、給水施設の建設(2013年5〜9月)
対象校8校のうち5校に、トイレ(6棟30室)・給水施設(5基)を建設しました。



Bワークショップ前調査(2013年9月)
専門家によるワークショップ実施の前提となる情報を得るために、対象校8校でアンケートを実施しました。



C第1回目トレーニング(2013年10月7日〜16日)】
JHPローカルスタッフ4名が衛生専門家の指導を受けて理解を深め、TOT(Training of Trainers:指導者研修)という手法を用いて指導ができるようになりました。



D第1回ワークショップ(2013年10月)
ローカルスタッフが中心となり、生徒代表と教員へのワークショップを実施しました。参加者は、衛生教育およびトイレ利用についての重要性を理解し、校舎およびトイレ清掃を含めた管理体制を自ら構築しまさいた。

E中間モニタリング(2013年12月〜2014年1月)
トイレ建設支援を行った5校を対象にモニタリングとインタビューを実施しました。

F第2回トレーニング(2014年1月27日〜2月5日)
以下の点に重点を置き、工藤専門家のトレーニング、ワークショップ開催準備が行われました。
・モニタリング方法についての再検討
・生徒から他の生徒へのトレーニング方法の確立
・学校内で広げるためのツールづくり



G第2回ワークショップ、学校観察(2014年2〜3月)
学校内で、生徒が中心となり衛生環境の維持管理ができるようになるための指導方法、テクニックを紹介。グループワークでは、清掃基準づくりが行われました。

●受益者の感想
「生徒の知識が向上し、トイレ利用率は高くなっています。今回得た知識は、学校内だけでなく、生徒が住むほかの住民、また彼らの次の世代へも引き継がれる大変重要な知識です。」(スレイモンコル中学校校長)

「各学校の生徒会組織を有効活用する手法は大変有意義であり、生徒と教員の関係や信頼の向上にもつながると思います。生徒代表らに必要な役割や知識・責任が身についたと確信します。同郡内すべての学校にも同様のワークショップを開催いただきたい。」(コンポントラバイ郡教育局副局長)

「他の生徒へ伝える技術向上に役立つ有意義なトレーニングでした。本日参加した生徒によるワークショップをローカルライフスキル(*)の時間に行う予定です。」(プロティエット中学校校長)

*ローカルライフスキル(LLS:Local Life Skill)
大体毎週木曜日に実施されている授業。内容は多岐にわたり、農業や芸術、交通安全や衛生教育等。学校により選択する内容が異なる授業時間であり、時間も異なります。