第2期「成人のための識字教育」経過報告
第2期:2019年度(2019年10月~2020年9月)
第2期は、引き続きコンポンチャム州バティエ郡トロップコミューン内にある、識字率が低い地域を対象に、識字教室を開催することとしました。
プノントーイ村/チャンコン村(NEW)/
コンポート村(NEW)/ポルッセイ村(NEW)
〇教員:4名(各村1名ずつ、2名は教員経験者、他2名は未経験の教員)
〇参加者:4村受講者約100名、識字教員、コミューン長、各村の村長、JHPスタッフ
授業は、生徒たちの参加しやすい夜に行われるため、授業の際に使用するソーラーランタンが手渡され、8ヶ月間の識字クラスがスタートしました。
JHP スタッフよりソーラーランタンの手渡し(写真左)/ 4つの村から集まった生徒たち(写真右)
授業に子どもを連れてくる生徒たちもいますが、先生との間で、よくコミュニケーションを取り合い、うまく授業を進めています。
一方で、掛け算割り算についていくことが難しい生徒がいたり、収穫期になると、仕事で忙しく、授業を休みがちな生徒も増えていますが、皆モチベーションは高いため、一人もクラスをドロップアウトすることなく、地道に勉強を続けています。
この期間、生徒たちは、それぞれ自宅学習や少人数での学習を進めています。
先生たちは、村内で手洗いを含む衛生指導をし、コロナウイルスの感染予防方法を広めたり、オンラインやTVを通じて、自宅学習の方法を広めながら過ごしています。
その努力のおかげもあり、現在は村内の衛生に関する意識がコロナウイルス発生前と比べ、格段に向上しました。
手洗いをする生徒(写真左)/ 自宅学習の様子(写真中央・右)
識字クラス再開の経緯
政府が提供するオンラインやテレビを通しての授業では、対象が縫製工場で勤務する生徒とされ、農夫が多い当クラスの生徒にとっては、フォーカスを当てるポイントが違ったり、進むスピードが速すぎる課題がありました。
また、生徒の大半は、家に電気が通っておらず、スマホ・テレビ等のデバイスがないため、アクセスできない状態が続いていました。
これを受け、カンボジア国内のコロナの状況が落ち着いてきたこともあり、
学んだことを忘れないためにも、各村長・コミュニティからの同意のもと、識字クラスを再開しました。
①1クラスを2つのグループに分け、席の間隔をあけて実施
※学習時間は半分になるが、半分になった分は在宅でできるワークを通常より多めに出し、カバーする。
②アルコールスプレーを各クラスに配布し、クラス開始前には必ず全員手の除菌
③少しでも体調が良くない生徒は休む
④試験では、コロナウィルスや衛生に関する質問を追加
人数を減らして受講(写真左) / クラス開始前にアルコール除菌(写真右)
〇場所:
プノントーイ村・セレモニーホール(プノントーイ村、コンポート村)
チャンコン村・セレモニーホール(チャンコン村、ポルッセイ村)
〇参加者:各場所受講者約50名ずつ、識字教員、コミューン長、各村の村長、JHPスタッフ
今回の第2期は、2019年10月から開始し、途中コロナによって中断がありましたが、無事に8ヶ月間のクラスが修了しました。
コロナによって、家計の収入も減り、生活が厳しくなってしまった人たちも多くいましたが、1週間のうち6日間、午後6時から8時までの識字クラスで粘り強く勉強を続け、100名の受講生全員が修了試験に合格することができました。
写真:閉校式に集まった生徒たち
◇ 代表生徒のあいさつ
『識字クラスの生徒を代表して、皆さんにご挨拶申し上げます。
識字クラスに参加することができ、とても嬉しく思います。私には勉強できる機会は一生ないと思っていたからです。
JHPはチャンコン村で識字クラスを開講し、私は今読み、書き、計算ができるようになりました。このような機会を与えていただき、ありがとうございました。皆さんがコロナウィルスに感染せず健康に過ごせますようお祈りしております。』
代表で挨拶する生徒(写真左)/ 修了証書の授与(写真中央)/ プノントーイ村での集合写真(写真右)
上位5名の受講生には、修了証書が手渡されました。
郡の教育局長、各村長、スーパーバイザー、JHPスタッフからの、識字クラス生徒たちへ向けての挨拶の時間では、生徒たちやスタッフたちの努力を称え、
『8ヶ月間の識字クラスを通じて新たに掴んだ「読み・書き・計算の知識」という道具を、自身の生活の質の向上、また家族や隣人、コミュニティ、助けが必要な人々への手助け等、他者を助けるために存分に活用してください』と熱いメッセージが送られました。
今後も、この経験を自信として、お互いに支え合いながら学び続けていきます。