音楽教師・音楽指導員の育成
音楽教育の普及のため、教員養成トレーニングをカンボジア プレイベン州コンポントラバエク群で実施しました。「音楽を教えたい!」と言う現職教師に対して、2014年から2年間で、4回の研修機会を提供し、修了した教師には教材(楽器)を提供し、音楽教育の普及に繋げました。
その後も郡の教育局や対象校が自らの力で美術・音楽活動を継続していくための支援を継続しています。
2017年以降も同郡で、郡および対象校による音楽イベントの開催支援教育局の担当職員と話し合い、音楽イベントへの継続支援を行いました。(郡教育局と各学校教師がイベント内容の決定や予算のリクエストを行い、JHPは間接的なサポート)
トレーニング・ワークショップ実施(2014年度~2015年度)
期間
- 第1回 2014年 9月16日~18日
- 第2回 2014年 12月16日~18日
- 第3回 2015年 9月 8日~10日
- 第4回 2015年 12月15日~17日
目的
- 教育関係者が音楽教育の重要性について理解を深める。
- 地域住民や保護者が音楽教育の重要性について理解を深める。
- トレーニングに参加した教員が音楽教育の重要性を理解し、自分のクラスの子どもたちに対して質の高い音楽授業を実施する。
- トレーニングに参加した教員が音楽教育の重要性を理解し、クラスまたは学校内でのイベントなどより多くの音楽活動が行われる。
対象
プレイベン州コンポントラバエク郡の小学校9校の教員27名、校長9名、
カンボジア教育省、教育局などの教育関係者
研修内容
- カンボジアのオリジナル曲の歌唱
- 音楽ゲーム
- ボディパーカッション
- おとあそび(表現活動)
- 手作り楽器
- 器楽(鍵盤ハーモニカ)
成果
2015年3月、音楽教育専門家 津田正之氏(国立教育政策研究所教科調査官)、カンボジア人音楽専門家、教育省職員などによる授業観察会を開催し、以下の結果が得られました。
【1】教員は研修内容を活かして楽しみながら積極的に取り組んでいた。しかし、教員自身の基礎的な音楽の力が不十分であるため、子ども達に適切な指導が出来ていない。今後、教員の基礎的な音楽の力の向上と、それを活かして子ども達の音楽表現を高める指導方法を学ぶことが必要。
【2】子ども達が楽しく多様な音楽表現に親しむことは十分に果たされていた。また、子ども達の様子から、教員が継続して積極的に音楽活動に取り組んでいることが確認できた。しかし、授業全体や各活動の目的が明確でなかったため、今後、計画性や発展性を考えた上で授業をデザインできる力が必要。
音楽活動による教員、生徒の変化(授業観察での聞き取りから)
「最初は恥ずかしがっていた子ども達が、恥ずかしがらずに発表できるようになり、子ども達同士で協力する姿勢も見られるようになりました。」「音楽の授業の欠席者はほとんどおらず、子ども達はリラックスしているように見えます。」
「低学年で字を読める子どもが増えたように感じます。」
「初めは指導を途中で止めたいと思っていたが、子ども達が楽しんでいる姿を見て続けたいと思った。今では、授業時間だけでなく毎日少しずつ教えています。今後は他のクラスの先生たちにも広めたいと思います。」
JHP音楽インストラクターについて
ヒム・サヴィー氏
略歴:カンボジア プレイベン州出身。幼少時代、祖父よりカンボジア伝統楽器の手ほどきを受ける。王立芸術大学付属学校でカンボジア伝統音楽を学んだが、後に専攻をフルートに転向。現在は王立芸術大学でドイツ人教授に師事する一方、フルート専攻の生徒の指導を行っている。
「子どもの教育のために責任ある仕事をさせてもらうことができ、大変嬉しいです。JHPの音楽トレーニングを通じて、国の発展に欠かせない人材育成に自分も関わっていると実感しています。自分より年上の学校の先生たちに新しい知識を広めるのは、簡単なことではありませんが、最善を尽くします」